時空

透明な水が溢れる　その森は
とても静かで　ゆっくりとした時間が流れている

水の結晶のような　美しい苔に　手を触れながら
植物や土の香りを嗅ぐわう
ゆっくりと呼吸をしながら
森に流れる風や　時間のなかに
わたし自身を　浸していく

森は　静かに　呼吸をしながら
しかしながら　強く　たくましく生き続けている
全身で　その雨粒や　光や　風を受けとめながら
地中深くに　大切な何かを　届け続ける
その膨大な時間の流れを想い
永遠の生を想い　
この森が生きる意味を知る

誰もいない　その静かな空間のなかで
わたしは　時間が経つのも忘れて
ただひたすらに　森の声に　耳を傾けていた